Collection Summer 2023

二〇二三 な つ

あとがき

 相次ぐ情勢変化の影響で、原料代や輸送費等のコストが上がり、ものが作りにくくなっています。業界全体を見ても、製造の現場が疲弊し、廃業するところも多いと聞きます。自分たちがそうだから、というだけでなく、国の基本はものづくりではないかと、若いときから考えてきました。例えば金融で稼げば効率はよいのかもしれないけれど、ものの手ごたえ、実感がありません。精神的にも根っこがない気がして、国を支える土台にはならないだろうと。
 アパレルに限らず、日本のものづくりがうまくゆかなくなったのは、「安くてよいもの」を評価しつづけた結果ではないでしょうか。ものづくりにおいて、「よいもの」を作るのはもちろん簡単ではなく、手間も時間も掛かります。それなのに安価であるということは、どこかが(多くは工場等の製造現場が)無理をしている、ということです。それでは長くは続かず、現場の力が弱まることで、ものづくりがどんどん難しくなってゆく。私たちも、少し前まではひとつの製品ができるまでの期間は約半年でしたが、いまは一年掛けています。45Rの主製品はスタンダードシリーズで、流行を追わない服作りだからこそ慌てず作ることができ、そこはよかったのですが……。
 45Rのこれまでは、とにかくよいものを作ることに専心してきた日々でした。それだけだった、と言ってもよいかもしれません。いまでは海外のお客さまも多く、接していると、むしろ海外のほうが、よいものが高価なのは当り前、という意識が根づいているように感じます。買うという行為が、作り手たち、ひいてはものづくりという文化を守ることになる、という自覚のあるお客さま、消費者の層が厚い気がします。日本はこれからです。そうした社会になることを期待しています。
髙橋慎志